はじめに

平成23年(2011年)3月に出版された「食育のまち紀の川市」を、著者の許可を得てWeb版に編成し直して紹介します。時点修正は行っていませんので、ご了承ください。

「食育のまち紀の川市」目次

第1章 「食」豊かな紀の川市
第2章 食育の背景
第3章 紀の川市食育推進計画
第4章 地方の元気再生事業
第5章 「食育のまち」宣言とこれから
第6章 講演とまちづくりー投稿記事・講演記録等ー
第7章 歌とまちづくり

 

 

 

刊行によせて 「食育のまち紀の川市」へようこそ

   紀の川市長 中村 愼司

紀の川市は、平成22年12月、近畿で初めて「食育のまち」宣言をしました。
紀の川市は、農業が基幹産業で、バナナとパイナップル以外はなんでもとれる「フルーツ王国」です。日本一の売り上げを誇るJA紀の里「めっけもん広場」や健康バイキングを提供する青洲の里、地場農産物を使った学校給食など、地産地消の取組も盛んに行われています。食育のまちづくりについては、平成20年に紀の川市食育推進計画を策定し、平成21年度に地方の元気再生事業などに取り組んできました。平成22年度からはわがまち元気プロジェクトの中で「食育」をキーワードにした農業の六次産業化に取り組んでいます。

本書は、紀の川市理事・農林商工部長として実務に携わった田中卓二君が、「食育のまちづくり」の経緯を書き下ろしてくれたものです。第1章から5章まで「食育とは何か?」という定義からはじまり、市議会や市職員、市民との交流など実際に体験したことを自分自身の言葉で書いています。第6章では、合併についての想い、棚田の起源、あら川の桃、華岡青洲先生など紀の川市のことを独特の切り口で分析しています。第7章では、「紀の川のほとりで」など田中君が紀の川市のためにつくってくれた歌について解説しています。紀の川市のキーマンに対してのインタビュー記事も掲載しています。付属CDは田中君の歌の「音楽CD」としてだけでなく、本書で紹介された食育関係の冊子などの「データCD」としても活用ができます。

本書は、紀の川市の「食育のまちづくり」の経緯を知るための教科書としてだけでなく、紀の川市の魅力を再発見させてくれる面白い読み物となっています。
田中君は、平成19年4月から、「理事」という市政全般を担う立場で、農林商工業・観光振興はじめ紀の川市のために尽くしてくれました。
この本は、彼の仕事の集大成として、余暇などを活用してコツコツと執筆活動をされたと聞いています。その苦労に心から敬意を表したいと思います。
本書は、紀の川市民はもちろん、紀の川市に興味をもつすべての方々に読んでいただきたい本です。付属CDの音楽やコンテンツとあわせてお楽しみください。

平成23年 3月

はじめに

紀の川市理事・農林商工部長 田中 卓二

和歌山県紀の川市をご存じですか?
東京や大阪でこういったアンケートをすると、「知りません」とそっけなく答えられることが多く、愕然としてしまうことがあります。
貴志川線の猫のたま駅長、めっけもん広場、粉河寺、あら川の桃、青洲の里など一つひとつの観光資源については知られているのですが、「紀の川市」というブランドは、まだまだ知られていません。よく考えてみれば、それも仕方がないことなのかもしれません。というのは、紀の川市は平成17年11月に旧打田町、旧粉河町、旧那賀町、旧桃山町、旧貴志川町の旧5町が合併してできたばかりの新しい市です。

旧町がそれぞれ50年かけて心血を注いでつくってきた拠点施設やブランドが、「紀の川市」の知名度よりも優越するのは、当然のことだと思います。
私は、平成19年4月、農林水産省から派遣され、紀の川市役所に理事兼農林商工部長として赴任しました。いったんは、国を辞職した形です。合併したばかりの「紀の川市」の地域振興やブランドづくりをどうしていくのか。赴任してからは、日々悩みながら仕事をしてきました。
そういった中で一つの解としてたどりついたのが「食育のまちづくり」です。紀の川市は、いちじく、はっさく、桃、柿、キウイフルーツなどの果物で全国有数の生産高を誇る農業市です。また、全国一の農産物直売所「めっけもん広場」や健康バイキングで知られる「青洲の里」もあります。学校給食への地場農産物の活用などにも積極的に取り組んでいます。こういった取組を包含する方向性として「食育のまちづくり」を進めるのがいいのではと考えました。
「食育」という言葉は、平成17年に食育基本法が制定されて以来、巷間使われるようになってきましたが、「食育」を基本としたまちづくりを進めている自治体は、そう多くありません。紀の川市では、食育のまちづくりを、次のように順次進めてきました。

平成20年     紀の川市食育推進計画、食育フェア
平成21年度    地方の元気再生事業
平成22年     「食育のまち」宣言
平成22〜24年度 わがまち元気プロジェクト

紀の川市で食育のまちづくりを進めていくに当たって、私は次のことを心がけました。

①市民主体で進めること
協働という言葉がありますが、市役所主導ではなく、市民と市職員が協調して食育を進めることによって、「食育のまち紀の川市」が市民に根付くものとなると考えました。

②市職員が職域をこえてやりがいをもって取り組むこと
食育は、農林商工部、保健福祉部、教育部など市役所の各部にまたがった取組です。各部の市職員が職域をこえて、やりがいをもって取り組むことが重要と考えました。

③紀の川市を「食育のまち」として全国にアピールすること
「食育」の取組だけでは、市内での啓発普及に終わってしまう可能性があります。紀の川市として食育に積極的に取り組むことによって、全国にアピールできるようなまちづくりを目指したいと考えました。

この本では、次の章立てで、これら紀の川市における食育のまちづくりを中心に紹介していきたいと思います。第1章〜第5章までは食育のまちづくりについて、第6章は投稿記事や講演記録など、第7章は私が紀の川市でつくった歌について紹介していきます。最後までおつきあいいただければ幸いです。

第1章 「食」豊かな紀の川市
第2章 食育の背景
第3章 紀の川市食育推進計画
第4章 地方の元気再生事業
第5章 「食育のまち」宣言とこれから
第6章 講演とまちづくりー投稿記事・講演記録等︱
第7章 歌とまちづくり

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