6講演とまちづくり

第6章「講演とまちづくり」-投稿記事・講演記録等ーを紹介します。

この章は、紀の川市に赴任してから様々な媒体に投稿した記事や講演記録を整理してご紹介したいと思います。

(1)「「紀の川のほとりで」~「合併市」紀の川市の現場から~」は、地域づくり情報誌『かがり火』
発行人の菅原歓一さんから、合併市の課題を書くよう依頼されたものです。私自身も市町村合併に関する問題意識は強くもっていたので、いい機会と考え、合併にかかわった様々な立場の人に取材して書き上げました。

(2)「ため池災害緊急レポート~和歌山県紀の川市の現場から~」は、平成20年5月に体験したため池災害について『農村振興』という専門誌に投稿したものです。この記事は、「ため池の決壊の危機をいかにして回避したかについて、その取組が臨場感をもって報告されている。地域住民の生命財産に関わるため池災害の対応の難しさが伝わってくるとともに、災害を教訓とした危機管理マニュアルなどを検討する際に大いに役立つ知見を含んでいる」という理由で、平成20年度の『農村振興』優秀報文の表彰をいただきました。

(3)「棚田の起源は紀の川市?」は、平成19年5月の早稲田大学名誉教授・中島峰広さんの講演会の内容を、(4)「棚田のルーツを探る」は、棚田学会と紀の川市、紀の川市教育委員会が共催した平成20年5月のシンポジウムの内容を整理したものです。棚田の起源は本当に紀の川市なのでしょうか。棚田と紀の川市の関係を解き明かしていく読み物としてお楽しみください。

(5)「「ふるさとをください」の「ふるさと」とは?」は、紀の川市を舞台に撮影された映画『ふるさとをください』の試写会への誘いざないのために書いたものです。エキストラ等で地域をあげて映画づくりに協力したのは楽しい思い出です。今でも粉河とんまか通りの楠酒店には、映画で使われた「紀ノ川屋」という看板が掲げられています。

(6)「「あら川の桃」の「あらかわ」とは?」は、あら川の桃振興協議会という「あら川の桃」の生産者団体で行った講演会の記録です。古事記や日本書紀にも明記されている「あらかわ」という地名。その由来からひもとく「あらかわ」の話をお楽しみください。

(7)「地方分権の観点からの華岡青洲先生の偉業とは?」は、「青洲友の会」という青洲の里の親睦団体での講演をまとめたものです。紀の川市の誇る華岡青洲の業績を、地方分権という観点で再評価してみました。

(8)「EUの農村振興施策リーダープラス」(9)「日本とドイツの農業環境政策」は、平成17年当時在籍していた国土交通省で、制度研究を命ぜられてドイツに出張した成果をもとに構成しています。それぞれ農業農村工学会京都支部、和歌山県有機認証協会という堅い場所で講演した内容をまとめたので、少々とっつきにくいかもしれません。

(10)「ほ場整備のススメ」は、紀の川市農業委員会で、紀の川市の農業振興について講演した内容をまとめました。ほ場整備は紀の川市の農業振興のかぎとなるため、今後ともその推進を図ることが重要です。

(11)「紀の川市の森林の価値とは?」、(12)「紀の川市の「光」とは?-紀の川市の観光を考えるー」(13)「紀の川市商工会に期待すること」は、それぞれ那賀広域森林組合・紀の川市観光協会・紀の川市商工会の事務局で講演を行った際の記録です。農林商工部長として林野行政、商工観光行政に携わることができたのは、私のこれからの大きな財産になると思います。

(14)「「きのかわー人と水の物語ー」~総括にかえて~」は、紀の川市の「人と水の歴史」を市内の中学生に勉強してもらいたいという想いから企画した副読本について解説を加えたものです。紀の川市に赴任してから、農林水産省出身という珍しさもあってか、『かがり火』はじめ様々な紙媒体への投稿を依頼されました。また、市内外の様々な会合で講演する機会をいただきました。

本章で取り上げた講演会では、かなり無謀な講演内容の設定をしました。たとえば、あら川の桃振興協議会で「あら川」の起源について、青洲友の会で「華岡青洲」について話すなど、専門家に向かって専門の話をしているような感があります。ただ、私も講演をする前には、旧町の町史を読み込み関連する本も収集するなど、準備にはかなりの時間をかけました。桃源郷や春林軒など講演の題材にする場所には必ず足を運び、実感として「地域」を感じるように努めました。

講演そのものは冷や汗ものでしたが、講演準備を通して紀の川市の歴史や風俗の素晴らしさを学ぶことができました。
何よりも講演会にきていただいた方々と、紀の川市の歴史などについて語り合い、心の深いところで交流ができたと思います。これは、その後の仕事面でも大変貴重な財産となりました。

なお、投稿した『かがり火』と『農村振興』には、転載許可をいただいています。
また、(3)と(5)にある『理事通信』は、農林商工部の職員向けに不定期で発行していた読み物です。
(1)から(14)まで、それぞれ投稿・講演した日時も対象者も違うので、一連の読み物としては、若干戸惑いもあるかもしれませんが、お許しいただければ幸いです。