(12)紀の川市の「光」とは?ー紀の川市の観光を考えるー

紀の川市の観光行政を管轄する立場として、日頃より、紀の川市観光協会の皆様には大変お世話になっているところです。
本日は日頃より私が考えていることをざっくばらんにお話したいと思います。

◆紀の川市の「光」とは?
「観光」という言葉は、古代中国『易経(えききょう)』の「国の光を観(み)る。用(もっ)て王に賓(ひん)たるに利(よろ)し。」という句に由来します。観光とは「国の光」を観ることであって、そういった光り輝く国から素晴らしいもてなしを受けた人々の力によって、その国はますます繁栄することになるという意味です。

それでは紀の川市の「光」とは何なのでしょうか。

私は、紀の川市の「光」は、紀の川市の文化、自然、農産物などの地域資源であり、それを支える紀の川市民のおもてなしの心なのだと思います。

紀の川市には、粉河寺の絵巻と鞆淵の神輿という二つの国宝をはじめとした文化財、母なる紀の川や龍門山などの自然、日本一の農産物直売所・めっけもん広場や県下第1位の生産高を誇る農産物があります。貴志駅の「たま」駅長のように、新たに全国区となった観光資源もあります。

そういった「光」を生み出す源は、紀の川市民の笑顔、おもてなしの心です。

「観光」は、紀の川市民の誇りにもつながっていくものです。紀の川市民が一体となって観光振興に取り組むことによって、誇りのもてるまちづくりができると考えています。

◆紀の川市の観光の強み・弱み
紀の川市の平成21年の観光客数は230万人で、和歌山市、田辺市についで和歌山県下3位です。意外と多いという印象を持たれたのではないかと思います。この中でも、めっけもん広場への観光客が約80万人で日本一のファーマーズマーケットの存在感を感じさせてくれます。

ここで、紀の川市の観光の強みと弱みを考えてみたいと思います。

紀の川市の観光の強みは、文化、自然、農産物などの豊富な地域資源があることと、関西国際空港から一時間圏内と都心からの利便性の良さなどがあげられます。

一方、紀の川市の観光の弱みは道路整備が遅れ交通アクセスが悪いこと、宿泊施設が少なく滞在型の観光客が少ないこと、そして、紀の川市としての統一的なブランドが定着しておらず情報発信力が弱いことなどがあげられます。

◆観光振興に向けての提案
それでは、紀の川市の観光振興に向けて、どのような取組を進めていけばよいのでしょうか。3つほど提案させていただきます。

第1が、紀の川市の観光施設のネットワーク化です。

めっけもん広場や貴志駅の「たま」駅長のところに来ていただいた観光客を、粉河寺や青洲の里にも来ていただける仕掛けができればいいですよね。紀の川市の観光施設のネットワーク化を考えていくことが必要です。

第2が、農家民泊など滞在型観光の推進です。

紀の川市で滞在型の観光客を増加させていく必要があります。農家の空きスペースを有効活用した農家民泊は今後人気を呼ぶ可能性大です。

私も、ドイツで農家民宿に泊まったことがありますが、都会からの長期滞在客でにぎわっていました。紀の川市に「癒し」を求めてくる潜在的な観光客は多いと思います。

第3が、「食育のまち紀の川市」のブランドの構築です。

紀の川市は、平成22年12月、「食育のまち」宣言を行いました。

宣言文の中でも、「食育」を観光振興に結びつけていく趣旨がうたわれています。農業体験とあわせて、地場農産物の食育メニューなどもふるまい、紀の川市の「食」の素晴らしさを堪能してもらいたいものです。

◆むすびに
紀の川市では、平成20年度、『たび旅散策マップ』というパンフレットを作成しました。紀の川市内の観光施設をめぐる散策コースを提案するとともに、紀の川市の用水路、ため池などを紹介しています。紀の川市には、たくさんの豊富な地域資源があります。観光客だけでなく紀の川市民にも、このパンフレットを片手にゆっくりと紀の川市の「光」を味わっていただきたいものです。

たび旅散策マップ

先日、和歌山電鐵株式会社の磯野省吾専務とお話しする機会がありました。和歌山電鐵では、貴志駅の「たま」駅長が全国的な人気者になっています。ただ、市民の熱意と行政の支援があったからこそ「たま」関連の取組がうまくいっているというお褒めの言葉をいただきました。全国でも、これだけの市民・行政を巻き込んだ支援を得られる地域は珍しいとのことです。

たまミュージアム貴志駅

紀の川市の「光」を造っていくのは、紀の川市民一人ひとりの「ようこそおこしなして」という気持ちではないかと思います。

今年は、折りしもほたるサミットが紀の川市で開催される年です。テーマは「ほたる灯に 集う仲間と まちづくり」で、6月9、10日の二日間、ほたるを通じて自然保全に取り組む全国の市町が紀の川市に集まります。おもてなしの気持ちでお迎えしたいものですね。

2011ほたるサミットinきのかわ

今後とも、紀の川市観光協会の皆さんの力添えを得て、紀の川市の「光」がますます輝くことを祈念しています。
(平成23年2月 紀の川市観光協会事務局講演)