(6)よさこいハイランド! 

(6)よさこいハイランド! 

               
※よさこいハイランド 踊ろよハイランド!
老いも若きも輪になって みんなで踊ろう ハイランド!※

風を感じて 踊り続ける ここは 鎌垣 五本松
空の青さと森のみどりと はるか見えるは 紀の国の山
今日は あざやか 花舞台なら 思い思いの 衣装で 踊りたい
※ 繰り返し

鳴子両手に 踊り続ける 隣は泉州 五本松
澄んだ空気と果てしない夢 はるか見えるは 関空の島
今日は あでやか 夢舞台なら 思い思いの 心で踊りたい           
※ 繰り返し

ミカンとりさんトンボかセミかヨ
朝の早よから木に止まるヨ
 
※ 繰り返し
老いも若きも集う場所 ここは 粉河のハイランド!

 

 

ハイランドパーク粉河は、紀の川市と大阪府貝塚市の境、和泉葛城山系の山中にある公園です。展望台やキャンプ場など、子どもから大人まで、森の中で楽しく遊べるところになっています。

ハイランドパーク粉河

このハイランドパーク粉河の管理は、鎌垣(かまがき)財産区が行っています。
財産区は、山林などを管理する特別地方公共団体で、紀の川市内には鎌垣財産区をはじめ一四の財産区があります。

鎌垣財産区は、和泉葛城山系の旧粉河町域の千ヘクタールの山林を管理する財産区です。昔、このあたりが鎌垣荘という荘園だったことから、このように名づけられたそうです。

ハイランドパーク粉河では、毎年秋にイベントを開催しています。
平成21年からこのおまつりの「華」として、よさこい集団を招待し、よさこい踊りの競演を行っています。

よさこい集団の演舞

「よさこいハイランド!~風を感じて~」は、鎌垣財産区の堀内宏員議長から依頼され、この祭の「総踊り曲」としてつくったものです。

ハイランドパーク粉河がある地域は、「五本松峠」といわれています。泉州から紀州に行き来をする際の交通の要所として有名で、かつて5本の松が植わっていたことからこの名称がついたそうです。

明治時代、歌人・若山牧水もこの地で次のような歌を詠んでいます。

秋雨の 葛城(かつらぎ)越えて白雲の ただよふもとの紀の国を見る

旅人よ地に臥せ空ゆあふれては 秋山河にいま流れくる

この歌は、明治40年(1907年)9月、早稲田大学在学中の牧水が、粉河にいる友人の藤田進一郎(紀水)を訪ねたときにつくった歌とされています。

時に牧水は23歳。この歌は翌年出版された牧水の処女歌集『海の声』に収められています。
和泉葛城山を越えて泉州から粉河に向かう途中、牧水は、五本松峠で見た紀の国の山々に心洗われたのではないでしょうか。

『よさこいハイランド!』は、よさこい集団風猛乱舞(ふうもうらんぶ)の皆さんの意見を聞いて、総踊り曲にふさわしい軽快さと分かりやすさを心がけてつくりました。

ハイランドパーク粉河の展望台からは、和歌山側は牧水も見た紀の国の山々、大阪側は関西国際空港の島や遠く六甲山まで見ることができます。

山の上の澄んだ空気の中、老若男女が輪になって踊るよさこいの歌として、親しんでもらえれば幸いです。

この歌には、この地域で昔から歌い継がれてきている『かちんぼ節』も、歌の一節に取り入れることにしました。

「かちんぼ」とは、今のような軽トラックやモノラックが発達する以前、みかんを収穫した後、人力でみかんを運ぶために使われた肩にかける棒のことです。一度に60キログラムほどのみかんを、かちんぼで運ばなければならなかったため、大変な重労働だったそうです。その苦しさを紛らわせるために歌われたのが、『かちんぼ節』だったというわけです。

『かちんぼ節』の歌詞を一部紹介します。

嫌じゃ嫌じゃと 鳴くかごの鳥ヨ
かごも破れる こともあるヨ

ミカン取りさん トンボかセミかヨ
朝の早よから 木に止まるヨ

ミカン船なら 急いでおいでヨ
江戸で売り子が 待っているヨ

この地域で、現役の頃『かちんぼ節』を歌っていた農家の方はすでに90歳をこえていて音源探しに苦労しました。結局、和歌山県民謡研究会の山本唯雄さんを通じて、『かちんぼ節』の音源を分けていただくことができました。

 

その音源をアレンジし直して、『よさこいハイランド!』に取り入れさせていただきました。

この地域に伝わる『かちんぼ節』の素晴らしさを、『よさこいハイランド!』を通じて感じとってもらえれば幸いです。

なお、東京で行ったこの歌のレコーディングには、宮本静さんに参加いただきました。宮本さんが楽しくのびやかに歌っている雰囲気を感じてもらえるのではないでしょうか。