(7)帰ってきてくれたんか

(7)帰ってきてくれたんか

             
うちのとこ帰ってきてくれたんか ほんまにうち嬉しいで
分かっとる 女はいつも損ばかりや 心も体も傷ついて
どんなに悔やんでも悔やみきれん 過ち 心に刻んだまま
※寂しかったんやね 辛かったんやね もっと側においでや 寒いやろう
みんなあんたのこと 心配してたんやで みんなあんたが 好きなんや※

どんなに一生懸命に生きても 報われんことばかりや
分かっとる 手当てなんてできんこと 泣きたいだけ泣けばええ
誰でも口では言えんような 哀しい話を もっとるもんや
寂しかったんやね 辛かったんやね 何も言わんでええから そこにいて
季節は巡ってゆく 街は変わってゆく やけど あんたはそのままや

誰でも口では言えんような哀しい話を もっとるもんや
※繰り返し
みんなあんたが好きなんや

 

 

私のふるさとは、大阪の千里ニュータウンです。
高校卒業と同時に大阪を離れて、もう四半世紀にもなります。

近くの商店街がマンションになってしまったのを除けば、街並み自体はあまり変わりありません。ただ、近所で子ども達の歓声は聞こえなくなり、老人達の街になってしまった感があります。

兄と私そして妹の三人兄妹がいたころは手狭だった我が家も、3人とも結婚して独立し、両親2人だけでは少し広すぎる感じがしないでもありません。

私にとっての大阪は、必ずしもいい思い出ばかりあるわけではありません。いじめ、親友の裏切り、友人の自殺など、今から思い返しても、苦い唾がこみあげるような苦しい思いも経験しました。当然、失恋もありました。

ただ、その後、就職して大阪を離れ、根無し草のように全国を転々とする中で、大阪のもつ「あたたかさ」を感じることが多くありました。

理屈では説明できないふところの深さが、大阪にはあると思います。たとえば、同じ慰めの言葉でも大阪弁で言われるだけでも癒されます。

『帰ってきてくれたんか』は、大阪弁の癒しの世界を伝えたくてつくった歌です。どんなに辛いときでも苦しいときでも、大阪弁で慰められると癒されることが本当にあると思います。

一生懸命生きても報われないことが多いですが、それでも一生懸命生きていかなければいけないのだと思います。
この歌は、ふるさとの大阪と同じように、私にとって大切な歌です。